百年住宅の工場見学 後編
前編より続き
工場見学第2部は、実験棟。
出荷するコンクリート製品の検査などを行っている建物です。
テレビでもたまに見る圧縮強度の試験機。
ようは万力なのですが、すごく年期の入った機械でした。
パネル作成に使ったコンクリートからサンプルを取り、パネルと同じ条件で固まらせて圧縮強度を検査、製品の品質確認をします。
その検査で必要な強度が出なかった場合、同じ原料で作ったパネルを全て廃棄するそうです。もっとも、そのようなコンクリートは流し込む際に「これは変だろ」と気づくらしいですが。
検査は、パネル製造の次の日、2週間後、4週間後(念のための確認)の3回実施。
淡々と説明されてましたが、大変な話です。
実際の試験を見せてもらいましたが、設計強度よりも十分に強い値が出てました。
強い方に余裕がある、というのはお得感があります。
もう一つの実験。
スランプ試験という奴で、コンクリートを筒に詰めて、その筒を外した際に、自重でどこまで沈むかを見るものです。
公共工事で、使ったコンクリートの品質証明に使われたりします。
水分が多くて柔らかいほど沈みが大きく、水分が少ないとほとんど沈みません。
NWPCパネルを作るのに使うコンクリートが、いかに水分量の少ないものか、というのを説明してくれました。
沈み込みは18cm程度。このくらいでないと現場では基礎の型枠に行き渡らないらしい。
ちなみに、コンクリートというのは、コンクリートの材料の一つであるセメントが、水と化学反応することで固まります。
一定量のセメントに対して、反応に必要な水の量は決まってます。
つまり必要な量の水だけを使ったコンクリートが、質的にはベストと言えます。
必要以上の水があると、コンクリートが固まった後で、空洞や亀裂なり、コンクリートの強度を落としたり、寿命を短くする原因になるそうです。
さらに水をいっぱい入れるとシャブコンと言われるものになります。
一方で、水分の少ないコンクリートは、固まる前から固く、モサモサしてます。
このままだと、現場で基礎を作るような場合、基礎の型枠の隅々、鉄筋のすき間までコンクリートを行き渡らせるのが困難になります。
まとめると、使う用途に合わせて、強度と作業性から決まってくるベストな水分量でコンクリートを配合する、というのが重要なわけです。
参考リンク
・コンクリートが固まるしくみ
・スランプ試験(wikipedia)
これらの実験棟での見学では、コンクリートのプロがしっかり作ってるな、という感想を持ちました。
自分の家がプロの技術者によって支えられている、という安心感は十分に得られました。
なんか途中から「地上の星」が頭の中に流れてました。
ここ数十年の技術の結晶というと褒めすぎでしょうか。
百年住宅の工場見学会、今回が初めてで、今後年に2~3回程度行う方向で検討中らしいです。
メーカー検討中の方はもちろん、契約後、建築中、引渡後でも行ってみる価値があると思いますよ。
多分、住んでからの安心感が違って来ます。
追記1
模様付きのパネルの型枠。
上から抑えつけて、パネルの凹みとか、ボルトを通す部分とかを作るんですね。
上が通常のパネルの型枠(パネル取り出し後)、下が模様付きパネル(パネル取り出し前)です。
通常と模様付きでは、作るときの上下が逆なのです。
追記2
工場で、静岡レスコハウスの社長さん&専務さんと話をすることができました。
お二方とも当ブログの存在はご存じで、「この自然石風の模様は、このままで良いのでは?」という私の感想(ブログ記事)について「私もそう思っているんですよ(社長)」とのこと。
パネルや目地の色が一定ではないことから、透明塗装仕上げはまだ実装できていないそうですが、そうする気は満々の様です。
話の節々から「社長さん、とことん自分ところの製品が大好きなんだな」というのが伝わってきました。
「基礎も工場で」なんて研究も行われているらしいです。
今回、私はメジャーなモデルチェンジに立ち会う事ができたわけですが、これからもどんどん改良されていくわけで、より改良された家に住む方々が、少々羨ましくも思います。
もう建て替えるつもりは無いもんな~
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